2013-02-03

アメフトはなぜやたらと人気があるのか

明日スーパーボウルなので。

アメフトはなぜあんなにアメリカで人気があるのか。

それはアメフトが「サッカーラグビーのわかりにくさを野球のわかりやすさで補ったスポーツ」だから

アメフトって難しいですよね。サッカーはわかりやすいけど」と言われることがある。でも自分は完全に逆だと思う。

サッカールールがわかりやすいのであって「サッカーの何が面白いのか」は素人にわかりづらいようになっている。

逆にアメフト面白さをわかりやすくする為にルールのわかりやすさが犠牲になったスポーツ

サッカー試合で行われていることの大半は、ゴールになる確率が高そうなシュートシーンをお膳立てするという作業だ。

たとえばこんな状況でこいつがシュート打てばゴールの確率30%以上、みたいなシーンを1試合にいくつ作れるか、あるいは作らせないかという争いをしている訳だが、

このゴール確率が一瞬で80%に上昇したと思ったら次の瞬間には何かのミスで0.1%になっているという具合で、素人にしてみれば何を喜び何を悲しんでいいのかよくわからない。

得点期待値の高いシーンが90分間のうち数十秒とかしかない。

それでも辛抱強く(ゴールという)心おきなく喜べる瞬間を待ち続けるにはそれなりの動機が必要で、結局ナショナリズムの力を借りなければならない。

サッカーの人気が代表に集中しているのは、サッカーが多くの人にとって実はわかりにくい競技だから

もちろん上級者の人たちはその「確率の上げ下げ」の争いをも(というかそれをメインに?)楽しんでいるわけで、

そういう「サッカーがわかる」人にとっては楽しいんだろうなあと思うし羨ましい限りなのだけれど、お茶の間の皆さんにはそれわかんないから。

一方、野球ルールは難解だが試合はわかりやすい。甲子園とかマジ老若男女が見る。なぜか。

野球は一つ一つのプレーごとに審判のコールによって「たった今行われたプレーが応援するチームにとって『良いこと』だったのか『悪いこと』だったのか」が観客にわかやすく示される。

そしてここが大事な点なのだが、すべてのプレーの結果が一時的に保存される。保存されるからこそ観客は喜べる。

攻撃側にとって出塁や進塁は得点確率の上昇を示しており、しかもその確率が0.5秒後には元に戻ってましたというような心配はない。

いわば、たとえは悪いけどパチンコスロットで当たりの確率が上がった状態であって、そういう状況になったこと自体が嬉しいのだ。

あるいは守備側にとって恐怖なのだ。そしてそんな状況でスリーアウトになれば守備側にとって歓喜の瞬間となる。アウトは一度宣告されれば失われることがないので思う存分祝っていいのである

得点がたくさん入れば人気が出るというのであれば、いまごろバスケバレーが日米の人気No.1スポーツになっているはず。

そうならなかったのは「もうちょっとで点が入りそう」という状況を一旦保存し、そんな状況になったこと自体をまず理解して喜んでもらい、観客の集中力を高めた上で然る後に喜びを爆発させてもらうという野球アメフトの性質がスポーツエンターテインメントとしての力を発揮したということなのだと思う。

アメフトは基本ラグビーに似た陣取り合戦だけど、そこに野球的な要素、つまりプレーの断片化、攻守のターン制、そしてプレー結果の保存が行われるようになっている。

具体的にはボールを持った選手タックルを受けて倒される度に試合が止まり、相手ゴールまであと何ヤードの地点まで進んだかが一旦保存される。

から攻撃側は何ヤード進んだと言っては歓喜し、守備側は何ヤード押し戻したといっては狂喜する。

攻撃側が前進するほど得点期待値じわじわ高まっていき、守備側が健闘するほど攻守交代の可能性が高まって守備側の期待感高まる

シンプルで、野球のようなわかりやすさがある。

それでいてサッカー的な戦術面白さやスピード感も、野球ホームランのような華やかな一発プレーも相手の配球を読むようないやらしさも含んでいる。

まあ何が言いたいかというと、サッカー野球が好きという人こそスーパーボウルを見てみて欲しい。

明日から好きなスポーツが一つ増えるかもしれないので。

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