2012-07-26

おおかみこどもの雨と雪を観てきた

これほどつまらない作品も久々に観た。

ネタバレ

序盤。ヒロインの花と狼男出会い

何の障害も挫折もない二人の馴れ初めは退屈でしかない。

狼男が、自分の正体を曝け出すシーンは、あくまでも神秘的に演出されており、汚らわしくないものとして描かれている。

当然、花は彼を受け入れる。

ベッドシーン

メロドラマが長い。感情移入も糞もない展開。

しかし、逐一「成長した二人の娘」の声でナレーションが挿入されるので、

これはあくまでプロローグであり、本編まで暫くかかるな、と視聴者にもわかる。

さっさと始まらねぇかな。

ちょっとの辛抱だ。

結論から言うと、最後まで、始まることはなかった。

一人目の子供が産まれる。雪。

この時、花は病院出産することを恐れ、自然出産を選ぶ。

ん? ってなる。

例えば……この過程をすっ飛ばし場合、観終わってから

「そういえば、出産の時、狼の姿で産まれてたら、どうしたろうね」

っていう、クソどうでもいい突っ込みを、敢えて先回りして予防されたような、

なんとも腑に落ちない感じがした。

このシーン、要るのか?

つまんねぇし、長いんだよ。

イヤ~な予感は募るばかり。

翌年に二人目、雨を授かり、狼男死ぬ

シングルマザーとなった花の生活が始まる……。

バイト大学も辞めて貯金で暮らすぎりぎりの暮らし

(いや、保険くらい入っとけよ。とか、そもそも在学中に産むなよ、などと思ったりしたが、何でそんな野暮なツッコミ入れたくなるかと言うと、無駄に説明ばかりの作品の癖に、肝心な部分でリアリティが掻き消されているからにほかならない)

夜泣する子供に切れる隣人。

虐待の疑いがあるとして詰め寄る児童相談所

遂に大宅から立ち退きを促される花は、田舎に引っ越すことを決める。

ジブリ空気感』を出したいのは十分わかったから、

冗長をどうにかしてくれ。サクッといってくれ。

ボロ屋に引っ越す。廃屋同然の木造住宅テンションうなぎ登りの雪。

何を見ても大声で笑い、走り回り、また笑い転げる……。

どっかでみたぞ。

トトロじゃん。

なんて言うと、したり顔で見下されるんだろうが、何度でも言うよ。

トトロじゃねーか。

ところで、この幼少期の雪、まじで声を当ててる子役が、上手い。

笑い方、ぐずり方、ヒスの起こし方、走ってる時のブレス、どれをとっても、リアル子供だ。

よって、宮崎あおい演じる花の棒っぷりが完全に浮いてくる。

ジブリも、富野由悠季もそうだけど、

中途半端リアルを求めて、「声優の演技を身に着けてしまった人は使いたくない」とか嘯いて、

こーいうところで露骨なギャップを作られると、ちぐはぐで、いらつくんだよ。

耳悪いんじゃねえの?

床を掃除して、洗い場を掃除して、雨漏りも修繕して、住めるようになる。

綺麗にしてみると、実はガラスの模様が可愛かったりして。

素敵な一戸建てに生まれ変わる廃屋。(また無粋いうけど、そうはいかねーだろ)

日暮しのために自家栽培を始める。

何度植えても病気で枯れる野菜達。

もうダメか……そこで農家ジジイが登場!

ようやくか!

と思った。そーいうアニメかと思ってたからだ。

ジジイは無愛想ながらも的確に指示を飛ばし

結果、作物は育つ。

案の定、活躍している。いいぞ。

遠巻きに見ていた村人たちも、徐々に花と交流していく。

それも、全てはジジイの差金だ。いいジジイ過ぎるな。

何の、代償もなく。頑張ってたから、助けたのだな。

しかしだよ。だがしかしよ。

野菜が採れて、村人とお裾分けしあって、

協力して、この田舎でも、生きていける。

ということが、説明された途端、もう出てこないんだよ。

まじでもう活躍なかったよ、ジジイも村人も。

説明の材料に使われただけ。

「このようにして生活していけてますから大丈夫です!」

って予防線を張られただけ。伏線もクソもない。

何の障害もなくなったわけ。花たちも、脚本も。

冬が来る。降り積もった雪山を転がって、走り抜ける。

はっきり言って、「生の躍動感」の押し付けなんて、見飽きてる。

一緒に見に行った友達は、ここが一番良かったって言ってたが。

まぁ、視覚的に面白かったら、それで良いんだろうな。

そして順調に子供が成長して、小学校に入って、

ようやくナレーションの年齢まで育って、

この時すでに一時間は経ってたんじゃないか

狼として生きるか、人間として生きるか、選びなさい。

人間としての自我が育った雪と、

狼として山を愛する雨。

姉弟の喧嘩のシーンなんかは、

つの間にか力関係が前後していたり、

腕白だった雪が風呂場で泣いちゃったり、

よくできてた。

それにしても雨は十歳で声変わり半端ねぇな。

で、嵐が来る。

唐突クライマックス。そりゃ尺たりねーよ。

無駄が多すぎるもん。

もうね、頭の中では、ストーリーの結末が、

俺がこうあって欲しいという道筋が、全部出来てて、

狼がネコバスみたく活躍して嵐の中、人間を救う、

CGも使いまくって視覚的に盛り上がりまくって、

前半のグダグダを全部ふっ飛ばしてくれるような、

スカッとする展開を望んでたんだけど。

雪は、誰も残ってない学校教室で、

初恋男の子と二人っきり。

自分が狼の混血であることを告白して、終わり。

花は、嵐の中山へ入っていった雨を追って、

転落して意識を失う(あれは全身骨折だと思うが、つうか死ぬと思うが。御都合主義が過ぎる。その辺の説明も是非ききたい)。

三途の川ライクな場所で夫に慰められて(本当にありがちという言葉を使うのも恥ずかしいくらいクソ演出)、

目覚めたら、雨に運ばれて駐車場放置プレイ

自分の道は自分で決めなさいと言った手前で、

行かないで~と泣く花。

母の強さ? そんなテーマ

なんつうの。女の……何なのお前? っていう矛盾

で、結局、雨は独り立ちしてしまう。

ところでお前は嵐の中、山で何やってたの? 見せ場ねぇー。

というか……

盛り上がる場所、ねぇー。

延々と説明。説明。説明の使い捨て

エンターテインメントが、そんなに嫌いなら、大衆映画やめろって思うんだけど。

ポストジブリ狙ってるなら尚更。

「しっかり生きなさい」とか言われても、失笑もののけ姫キャッチコピー

ED曲のアカペラ部分で、残っている精気を限界まで吸われた。

なんだ、この、げっそりする感覚は。

「浅いよ」と言われようが、

「わかってねー奴」と罵られようが、

ジブリパクるだけパクっと食って、

盛大にゲロをぶち撒けたような作品だった。俺にはそう思えた。

  • そもそも、「男性作家が母性を礼賛すること」がいかに暴力的であるか、を完全無視して作品を作っちゃう程度の感性だぞ。 そんなやつの映画にクオリティを求めるお前さんが悪いよ。

  • ポストジブリなんかねらってんのかあれ その肩書は業界人じゃないけど鼻で笑っていらねぇよって蹴り飛ばすものだと勝手に思ってるんだが どっかの広告企業の差金かと んでもって雪...

  • ジブリアニメは画と動きをみるものであって話を(ry リア母と夏充の思い出作りのためのアイテムであって、ヲタの叩き台じゃないと思うです。

  • ジブリをパクるだけパクっと食って、 盛大にゲロをぶち撒けたような作品 新海誠の『星を追う子ども』がまさにそうだったけど、それよりは良かった。

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