2011-07-31

今回の韓流問題は思ってるより複雑な話

韓流ユニクロ通販番組に例えたビジネス的な側面からの説明を目にするようになる一方で

兼ねてからあった韓国マスコミに対する反感もネット上で盛り上がっている。

でもここでしたい話は「いつものあれ」ではないもっとこんがらがった話だ。

愛国反日」でも「ビジネス的に成り立つから」でもない話だ。

「いつものあれ」じゃない話

高岡蒼甫個人に関しては、彼の解雇後のブログを読んで、

アイデンティティ不安から震災三島由紀夫舞台きっかけに愛国心に拠り所を見つけた中で

2chありがちな韓国陰謀論を信じ、感情が高ぶったという単純な話、「いつものあれ」だなと個人的には受け止めていた。

しかしながら、色々考えてみると、これはもっと深い問題だ。

まり単なる嫌韓の吹き上がりでも、背後に反日組織がいるのでもない、

費用対効果とか、嫌なら見なきゃいいとかではない、もっと複雑な話を含んでる。

この話は様々な要因が組み合わさっているため、一言で言えないような話だ。

からこそ、陰謀論にもとびつきたくもなるし、「いつものあれ」と言いたくもなるかもしれない。

だけど、それだけの話でもない。

「いつものあれ」じゃないから、めちゃくちゃ複雑

論点をあえて挙げようとすれば

グローバリズム・自由市場経済コンテンツ文化政策資本主義・大手メディアスポンサー広告代理店利益主義批判

クロスオーナーシップ版権ビジネスステルスマーケティング

日本コンテンツ制作能力の低下・韓国コンテンツ(音楽ドラマ映画)の分野におけるそれぞれの価値

商品とナショナリティの関係(コンテンツとそれ以外の製品、あるいは韓国国家政策)

日本の指針・自己存在アイデンティティ不安社会的流動化・歴史問題・ナショナリズムネットの議論、などなど

様々な要因が混在している、一筋縄ではいかない話だ。

から一方が一方を批判したとしても、それぞれが抱えている論点が喰い違っているし、一生噛み合いそうにない。

それと同時に、この問題は現在世界を捉える上で、格好のケーススタディでもあるような気がしている。

例えばグローバリゼーション

amazonで本買って、windowsPCで、スタバに立ち寄って、マックで飯喰って、BOSEイヤホン洋楽聴きながら、iPhonetwitterを眺めてることに対して

アメリカを批判する人に出会ったことがないし、ほとんどの人はたぶんグローバリゼーションオールオッケーで

Tシャツ中国製で、ジーパンベトナム製の生活で、それは安くてめちゃくちゃ快適で、その快適さを無くしてまで守るべき価値はあるか、みたいな話。

そうなってくると、そもそも日本という国は何の価値を目指しているのか、何の理念に基づいているのかとかいう話。

グローバル化国内雇用が失われるとしてそれを保護すべきか、農業は、コンテンツは、車は、それを分ける差は。

コンテンツ文化政策として、自由市場に制約をかけるべきだというのなら、それはどの程度まで、何をもって制約をするのか、誰がそれを補償するのかとか。

あるいは、言うべきは「韓流ブームは捏造なのに、なぜそれを流すのか」ではなく

「採算が取れるくらいは流行っているからといって、外国コンテンツばかり流していいのか」であるかもしれないし

それを真剣に考えるなら、ソフトパワーとしてのアニメ含む日本文化輸出の国家戦略とのダブスタはどうすんのとかいう話。

反グローバリゼーション・反メディアとしての嫌韓

嫌韓の思想に吸収されているある部分の人たちは、嘘を流して自分たちを搾取しようとする広告代理店権益情報を一人占めするマスコミに対する反感であったり

自分たちの守るべき価値が脅かされているという流動性の増す社会に対する不安を感じている。

これは反グローバリゼーション・反メディア企業といった欧米によく見られる左翼思想につながりうるようなものでもある。

しかし、反グローバリゼーションや反マスコミメディアといった思想を持つ人たちの受け皿として、日本左翼機能しておらず

結果として嫌韓・あるいは保守という形に収まるというねじれ現象があったりもする。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/yougo_uyosayo.html

実のところ、震災と関係ある話

僕らは色んなもの自明なこととしてのっかかっている。

のっかかってるものを自覚しなきゃならない。

グローバリゼーションと聞いて、ふーんと思うだけで、のっかかっている。

メイドインチャイナアメリカ企業が与えてくれる快適さと安さにのっかって

コンテンツグローバリゼーションしはじめれば、それを否定する論理も肯定する論理も貧弱だ。

グローバリゼーションだけじゃなくて、快適だから依存してるあれやこれに対する論理がこれから先も通用するかどうか。

あるいは、僕が聞きたいのは「いつものあれ」じゃない。

グローバリズムという点だけでも、そもそもここで論じきれる話じゃないけど、議論すべきことはもっとある

「いつものあれ、そんだけの話」じゃない話をもっと聞きたい。

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