2010-06-13

フェミが純潔教育を嫌う理由がわからん

これは自分でも極論だと思うし、どこかがおかしいのは確かだと思うのだが、どこがおかしいのかよくわからないし、人文系音痴の俺には適切な文献を探すことすらできなかったので、誰かが教えてくれることを期待してここに書く。

赤木智弘氏「13歳を性的主体として認めるべき」

これを書くきっかけは赤木氏のブログ記事「アグネス子供権利をないがしろしている」( http://blog.livedoor.jp/shimanekoblog/archives/1410043.html )とそれにまつわるtwitter上での議論「13歳のセックスする権利」( http://togetter.com/li/28748 )、およびそのブクマを見て違和感を覚えたことだ。。見ればおわかりの通り赤木氏は、フェミ系とおぼしき人を中心に徹底的に叩かれており、同情的な意見はほぼ皆無に見える。確かに赤木氏の言っていることは極論であると私も思う。しかしそれを批判している人にもどうしても違和感を覚えざるを得ないのだ。

赤木氏を批判する側の言うとおり、13歳は性的主体として未熟すぎ、自己責任の原則を適用するのは無茶だと思う。つまり、13歳を性的主体として考えるべきではないのだろう。

しかしながら13歳という年齢は十分性欲もある年齢だ。とすれば、放置しておけばいきさつはどうあれ現実の行動に走ってしまう子供達はいる。それも、同年代同士の恋愛の帰結というような、13歳という年齢を考慮に入れなければ非難することが難しいような経緯のあげくということもあり得る。

これにはどう対処すべきなのだろうか。大人の視線で言えば、ともかく13歳が性行動をすべきではないということになろう。となれば、純潔道徳を推進するというのが論理的に正しい帰結のように思えてしまう。

しかしながら、「純潔」の「じ」の字でも口にしようものならこれまた、赤木氏以上の勢いで血祭りに挙げられることは間違いないのだ。

だとするといったい、この年代子供をどう扱うべきなのだろうか。世間の良識がどのあたりにあるのか、本気でわかりかねている。

純粋培養の俺の思想遍歴

実際俺自身が中高生だった頃は、自分自身を純潔思想で染め上げていた。誤解しないで欲しいのだが、私は何らかの宗教の熱心な信者などでは全くない。単に「責任が取れないことはすべきではない、従って未成年は純潔たるべし」と思っていただけなのだ。そして奥手な男子校生としては、自分が「過激思想」を持っていると気づく余地もなかったし、それで現実とのギャップに何の問題も起こらなかった。

ショックを受けたのは大学入学以降で、周囲が何の疑問も持たずに「恋人がいれば肉体関係になるのが当然」という価値観で行動しているのが理解できなかった。完璧避妊法なんてないのに、みんな誰もかれも、いざとなれば大学中退して子供を養う覚悟が据わっているともとても思えなかったからだ。もちろん、全員が俺のように考えないのが間違っているとまでは思わなかったが、俺のような考えが「極論」として一笑に付され、何の検討にも値しないかのように扱われたことはショックだった。今の感覚で言えば、うっかりシー・シェパードの本部に紛れ込んでしまったらこのような気分になるだろうか、それほど絶望的な孤立を感じた。

その後周囲と話していて、そのあたりの感覚は高校以前の段階で確定してしまっていることがわかった。つまり、世の常識は良くも悪しくも、「中高生の少なくとも一部は性的主体として認められるべし」なのだ。

そこで俺はますます混乱してしまった。当時、児童ポルノ論議が始まった頃だった。つまり世間様の言っていることは「中高生性的主体」だが「中高生性的客体にすることは児童虐待」なのだ。まるでわけがわからなかった。

現在自分社会人となっているので「純潔」云々を自分の問題として真剣に悩む必要はなくなったが、それでも未だにこの件はわけがわからない。

こんなことを考えるのは俺だけなのだろうか。だとしたら俺の何がおかしいのだろう。ショックを受けてから十年以上経ったが、未だにまるで見当もつかない。

児童ポルノ規制論が見て見ぬふりをしている偽善

どこかで見たアメリカンジョークをご紹介する。

深夜パトロール中の警官路上駐車を見つけ、取り締まるべく近寄っていった。念のためと中を覗くと、そこにいたのは若い男女。これはお邪魔だったかと回れ右をしかけたが、ふと気づいた。この二人、見つめ合うでもなくただひたすら時計を見つめているのだ。

警官、思わず声を掛ける。「君たち、何をしているんだね」

男が答えた。「日付が変わって彼女が18歳になるのを待ってるんですよ」

これがジョークとして成立すること自体、現行法体系における児童ポルノ児童性愛定義に無理があることを表しているのではないか。現行法の定義児童ポルノ児童性愛として人の道にもとる悪と処断されてしまうものの中には、実際には問題がほとんどないものがあるからこそ、このようなジョークが成り立つわけなのだから。つまり、現行の児童ポルノ児童性愛定義は、「百人の罪人を見逃すとも、一人の冤罪を出さない」という現代法の精神と矛盾を来しているということなのだ。それがなぜか、自分児童性愛者と名指されたくないためなのか、誰もが「王様衣装が見えないやつは非国民」だと心から信じている振りをしているように思えてならない。

そもそも、児童ポルノ規制の議論をするのであればこのあたりをまず議論しておかなければ、ただの偽善家同士の争いにしかならないのではないか。中高生性的主体として認めるのであれば、買売春の主体と認めないとしても、中高生を性の対象にすること自体はともかく罪悪ではないということになる(でなければそもそも中高生時代の俺自身を含む、ほとんどすべての人が憎むべき児童性愛者であったことになってしまう)。盗品を買うことが盗みをすること以上に罪悪になり得ないのと同様、「若気の至り」の記録を蒐集すること自体を人の道にもとる悪として断罪することは明らかに行き過ぎであり、単純所持を微罪以上のものとして処罰することには根拠がなくなるだろう。

実際憶測だが、児童ポルノの多くは「被害児童」の買春の結果として撮影されているのではないだろうか。その「被害児童」が本当に全面的な同情に値するのだろうか?少なくとも、当事者性的主体として少しでも認めない、即ち純潔教育を否定するのであれば、本人が「児童ポルノ製造」に多少なりとも「主体的に」荷担していることは確実なのだ。その種の児童売春した者、あるいはその記録を蒐集した者の罪は、どう考えても成人に対する強姦や強制猥褻といった典型的性犯罪に比べてはるかに軽いものとしなければ理屈が通らないだろう。

つまるところ、純潔思想を肯定して、「18歳未満の児童には何人たりとも指一本触れてはならぬ」とする覚悟なく、児童ポルノのあらゆる「被害児童」を純粋無垢の「被害者」として押し切る思想はどこかでその種の「いいところ取り」をしているとしか言いようがないのだ。だからこそ、この議論は宗教論争のようになってしまって、いつまでも収拾がつかないのではないか。

とはいえ、だったらどうすればよいのかと問われても、このような事情でなかなか解決策が私にはわからないのだが。

  • 君の芸風はあきられていることに気がつかないかなー

  • 無茶苦茶。 君の言う極論と極論の間に、答えはいくらでもあるよ。 落ち着いて考えてみようね。

    • そういうなら例を一つでも挙げてみて下さいよ。俺は十年以上考えててわからないんですよ。アホですみません。

      • 長かったので斜め読みした。でもレスするw ルールも常識もそもそも不完全なものだから、 そこにある矛盾なんぞ考えるだけ無駄。 んで解決策なんぞ誰もわからんから、 適当なところ...

        • いや、そうやって片付けるのは簡単ですよ。 しかしたとえば、西洋のあんな理屈もなにもないわけのわからない反捕鯨運動って、そういう「愚直」さを放棄したところに根を生やしてい...

          • 別に反捕鯨は愚直さを放棄したところに根を生やしてないだろ。 てかむしろ愚直。

            • いや、彼らは自分たちの教義に沿って行動してるだけで、その教義(=自分たちが当たり前だと信じていること)を疑ったりしてみていないでしょう。だから、ここでいう意味の「愚直...

              • 言葉の定義だから大した問題じゃないけど、 愚直といったのは、融通の利かない真面目さという意味で使ったつもりだよ。  君に言いたいのは理屈とか善悪などといった物に、必要以上...

                • 元増田です。言いたいことはわからなくもないですが、残念ながらその回答には満足できません。 一言で要約してしまえば、あなたの言っていることは「どうだっていいじゃん、適当で...

                  • そういう視点ならいいんじゃない?俺も同じだ。 ただいえる事は解答は存在しないということ。 相手の立場になれるなら、なおさら理解できるでしょう。 争いや戦争は正義対正義であ...

  • 13歳は性行為の責任がとれない ↓ 13歳は性行為はしちゃダメ ↓ 純潔教育すべし の三段論法が間違ってるんだよ。 その理屈だと、13歳は自転車にも乗れないよ。

    • いやそういう話じゃありません。13歳は、自転車にはどういう危険があるかということを教えれば理解することができます。だからその意味で「自己責任」の範囲内で自転車に乗ることが...

      • 元の三段論法批判を書いたものです。 議論にのってくれてありがとう。 さて、13歳に自転車に乗る危険性を教育できる。 しかし、セックスする危険は教育できない。 そんな馬鹿なこと...

        • 横から最後のほうだけ読んでレスをするけど 私の知っている限り、13歳にセックスさせるべきというフェミはいません。 13歳もセックスする可能性を考えて教育すべきというフェミな...

          • 横だけど、元増田は「そんなフェミは自分が知る限りいない」と言う「事実」を述べているだけだろ。 それを「攻撃」と取る方が被害妄想だだ漏れてる。 それでうんざりして(ry と...

        • 横だけど、反論になってないんじゃないかな。 「20歳未満は飲酒禁止」と、「18歳未満は性行為禁止」の違いは何? 性行為の方だけ過剰に反応されるのはどうして?という問いなの...

          • ちなみに今現在だって、喫煙も飲酒も学校でまともに危険なんか教えないよ。 現在30過ぎの自分は小学校だか中学校(忘れた)で教えられた記憶あるけど。 最近の子は教えられないの...

          • はいはい、三段論法批判を書いたものですよ。 あなたの理屈なら、危険性をきちんと教えればそれでよくて、「禁止」など必要ないとなりませんか? はい、その通りです。 極論を言...

            • 「禁止にする」ことの意味は、それを社会通念上で「悪」だと定義することです。 未成年がタバコを吸うのも酒を飲むのも、禁止されているのだから悪い事。 性行為もそうしてしまうの...

              • 悪だろうと何であろうと、禁止する事により未成年にコンドームが渡らなくなることの方がよっぽど危険では。 現状であなたが言う「悪」とされている、未成年の飲酒・喫煙はなくなっ...

                • 危険性を正しく教えて、それに対する対処も正しく入手できる世の中であったとして。 (酒・タバコが入手できるのと同程度に、コンドームは買えるけどね、男子なら一度は話題にする...

                  • おいっ、ちゃんと読んでくれっ。 性行為と飲酒を分けたりしてないよ。 両方とも安易に禁止して放置するより、ちゃんと教育した方が効果あるって言ってるんだよ。 いまでも、禁止し...

                    • そっちこそちゃんと読んでくれ。 今でも十二分に危険が周知されている「一気飲み」でさえ、「大丈夫だ」とやってしまうバカが絶えないのに。 なぜ、教育で変えられると思うのか。 ...

              • 特定の集団においての「禁止」とは「許容できない」という意味でしかない。いわゆる善悪とは関係ない。道徳的に善であるように考えられることも規則として許容されないという事態...

        • 元増田です。 問題は、避妊を正しくすべきであるという性教育を行えないことにあるとは、なぜ思わないんでしょう。 そう思わないといった覚えはありませんが。 誤解して欲しくな...

          • 最後の文章については、それほど矛盾しないと思うよ。 自分から体を売った中高生を撮影してばらまくのは児童虐待、そんなものに興味持つ方が異常 と言うのは、彼らが搾取される可...

          • なるほど、前段の問題はまさにはてブで書かれているように、純潔教育という言葉の定義の問題ですね。 一般的に「未成年にセックスをするな」=「純潔教育」ではありません。 はてブ...

            • 言葉が過ぎるという矛先は国民からの選出での審判を人民裁判と言い放った与党幹事長代理に向けろよ

            • 元増田です。 過去に、男女交際を全て禁じ、それどころかオナニーまで禁じ、でも性風俗は許容するような純潔教育が存在していたことを踏まえると、「純潔」という言葉に敏感なの...

              • 七生事件の件などから、石原慎太郎が性教育を否定する立場にあることは明確です。 その慎太郎が「中学生はセックスするなと教えるべき」と言えば、それが純潔教育を示すことは明確...

                • あなたが純潔という言葉を使う前から、フェミは石原慎太郎的純潔教育に対して反応してきているという流れを踏まえてください。 では、私が知らなかったそういう経緯があったとし...

                  • あまりインライン的引用は避けたいんですが、ちょっとやむを得ないかと思いますので失礼しますよ。 あなたが純潔という言葉を使う前から、フェミは石原慎太郎的純潔教育に対し...

                    • ごめんなさい、元々自分が何に苛立っていたのかが、話題が発散してよくわからなくなってしまったのでもう一度整理しておきます。 私は元々、赤木智弘氏が「アグネス・チャンの『二...

  • すこし的はずれかも知れないですが…… おそらく、根っこは子供という存在の個々人の認識や定義の問題です。 ・責任能力 ・判断能力 ・理解力 等々 つまり、或る行動をおこす際に、...

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