2009-12-25

http://anond.hatelabo.jp/20091223141728

人の話を聞くのが得意だ。少し会話をすれば、相手が今どんな言葉を欲しているのか、または他人の適当言葉など欲していないのか大抵手に取るように分かる。

いつから自分が人の話を聞くのがうまくなったのか覚えていない。学生時代まではそれほど得意だった記憶はないので、社会人になってから家族や友達ではない人と強制的に数多く接せざるを得ないうちに、保身のためにいつの間にか身についた技術のように思う。

とにかく私が「今、この人の話を聞こう」と決めれば、相手は次第にリラックスし、やがて本心を語り始める。時々「水商売の道に進めば良かったんじゃないか」と後悔することもあるが、好きでもない男の人に体を触られることを想像するだけでもゾッとするので、きっと務まらなかっただろう。

 1.人の話をおもしろがって聞く。

   ・・・笑顔で体を相手の方に軽く向ければ、それだけで「自分は今興味を持たれている」と思ってもらえます。

 2.なにか広がりそうなところがあると、そこを聞いてみる。

   ・・・自分が疑問に感じた点があれば、素直に質問してみましょう。大切なのは、質問に乗じて自分が優位に立とうとしないこと。

 3.相手がなにを話しても、攻撃的にならず、たしなめ方が上手い。

   ・・・自分には相手に説教する資格などないものと心得ましょう。

 4.自分の話もするのだけど、それはあくまで対比としてする。

   ・・・繰り返しますが、隙あらば自分が優位に立とうなどと決して考えないこと。

 5.自分の話をするときは、たいてい、一歩下がった位置でおもしろおかしい失敗譚が多い。

   ・・・他人の自慢話など誰も聞きたくないのです。そして、どうせなら笑える話の方がいいに決まってます。 

 6.相手が話したがりそうなところを見つけるのが上手い。

   ・・・ひとたび「私には何を喋っても大丈夫ですよ。あなたのことを変な人だと思ったりしませんよ」という印象を与えることに成功すれば、後は向こうが勝手に喋ってくれます。

 7.話し手を全肯定する。

   ・・・自分には相手を批判する資格などないものと心得ましょう。

 8.ちょっとぐらい矛盾があってもつっこまない。

   ・・・人間だもの

 9.相手の話を否定しない。

   ・・・否定されると、話の勢いが弱まるものです。

基本的に人間は「自分が主人公でありたい」と願っているものなので、相手に思う存分喋ってもらってそれを「うん、うん」とニコニコしながら聞いてあげれば、もうそれだけで十分なのだ。しかし、ただのイエスマンとなってしまっては勘の良い人には「もしかしてバカにされてる?」と受け取られることがあるので、疑問点があれば相手のリズムを損ねないよう気をつけつつ軽い質問をしてもいいと思う。とにかく自分のことを相手に知ってもらおうなどとはゆめゆめ考えずに、「あなたのことを知りたい!もっとあなたの話を聞かせて!」という姿勢が大切。

相槌も笑顔でふんふんという軽いものから、相手の意外な事実などにはさっと真面目な顔をして「・・・えっ?!本当ですか?そんな風に見えない!」と絶句してみる等、強弱のバリエーションが付けられればさらに良い。

初対面でこの先会う機会がない相手なら、こんな調子で真剣な相槌を打っていれば気持ちのよいひとときを共有することができる。一期一会精神だ。

問題は中途半端な知り合いや職場の同僚等、それほど親しくない相手と繰り返し会わなければならない場合。

初めて会った時の経験から、私と話をすればひとまず肯定してもらえる、楽しい会話ができると信じる相手は、そのうちいろいろな相談事を持ちかけてくるようになる。プライベートなことまで話してくる。そして残念なことに、私的な話を聞いた後、さらに相手に興味が膨らむことなど稀なのだ。上から目線で全く失礼な話だが、話を聞けば聞くほど相手の欠点が目に付くと同時に、今後お付き合いを続けることで巻き込まれることになりそうなトラブルが大体想像できてしまう。よって、「この人とこれ以上は親しくなりたくないな」と興味を失うことが常。

しかし、今後もお付き合いしなければならない相手に対して、「それは自業自得では?」「あなたの話にはもううんざりだ」などとは口が裂けても言えない。「ああ、そうなんですか。でも、私も同じことやってしまうかも」などと適当な事を言って、さらに同調してみせる。

そんなわけで益々他人に好かれる。特に、自分ばかり話していることに全く気がつかないタイプの人に好かれる。私が相手に持つ興味よりも大きな興味を寄せられる。やたら集まりに呼ばれたり、家に遊びに来たがられたりする。私は家で一人でゆっくりするのが好きなのに!厚かましい男性だと段々近くに寄ってきて、体に触ろうと試みる人すらいる。触ってくるなよ!

人の話を真剣に聞くには集中力が必要だ。一旦相手に興味を失うとこれが続かなくなり、気が散り始める。相手を気分良くさせる相槌を打つことばかり気を回している自分が、自分でないような気がしてくる。こんな自分は誠実でも優しいわけでも何でもなくて、ただの八方美人ではないか。嘘で関係を築いているだけではないのか。自己嫌悪

家族や友人なら大丈夫なのだ。相手の意見に「それはちょっとどうかな?」と感じるようなことがあっても、対立を恐れず思ったことを率直に伝えることができる。ある程度お互いに信頼関係があるから。しかし、それほど愛情を感じていない相手に、どうして関係を壊すリスクを犯してまで本心など伝えられよう。そうこうしているうちに、心の中で感じていることと実際に伝える言葉とのギャップはどんどん広がっていくばかり。疲れる・・・。

最近は人と会うのが億劫で仕方がない。自分の相槌に相手がうれしそうにする様を見るのは、もううんざりだ。

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