2009-12-14

仕事と私、どっちが大切なの。」

初めて恋に落ちた。

それは21の春だった。

大学部活で出会った2つ年下の女の子

一目惚れだった。

それまで恋愛なんてしたこともなくて、どうやったら自分の気持ちを伝えることが出来るのかすらわからなくて。

友達にいろいろ聞いて、顔が赤くなるのを必死で抑えながらデートして。

もっと顔が真っ赤になるぐらい緊張しながら告白した。

「待ってたの。」

はにかみ隠すようにうつむきながらと小声で言ってくた彼女の目からは涙が流れていた。

人が泣いているのを見て初めて胸が締め付けられる思いがした。

味わったことのない締め付けられ方に僕はこの後どうするべきなのかをさっぱり忘れてしまい、何故か泣いてしまったんだと思う。

その日の帰り僕らは初めてキスをした。


あれからどれだけ時間がったたのだろう。

僕は今年社会人になって忙しくなった。

その途端に何度も繰り返されたキスはその潤いを失い、気がつけばまるで山のようにたまった仕事のように淡々とこなされるタスクになっていた。

今日はこのクライントにメールして午後から部長ミーティング、帰ってから彼女キスをする

実際は文字になっていないけど、僕の予定帳はこんな感じだ。

当然のように僕のタスクと化したキスからは愛情のかけらも伝わらない。

僕自身も自分タスク愛情を込めることができない。こなすだけ。

結局

仕事と私、どっちが大切なの。」

うつむき加減にそう言って、彼女は出て行った。

まさか、現実でこのセリフを聞くことになるとは。

またしても、僕は泣いているようだ。

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