2009-10-28

優しさって魔法のことでしょ?

優しさは、このリアルな時代に、人間が唯一使える魔法なんだと思う。

ということに、気づいてしまった。

昨日まで、僕は優しさのことなんて、ちっともスゴイと思ってなかった。

なんていうか、優しさなんて、ある意味、人として当然のマナーだったり、

もっといえば、なんかちょっと胡散臭くさえあるような、

それでいて、どこかインパクトに欠けるというか、

どこも褒めるとこのない人に、とって付けてしまえるような、

そんな取るに足らないものだと思ってた。マクドナルドスマイル0円的な。

ところが、僕は、昨日色んな人に色んな形で優しくされてしまった。

というのも、僕が突然、電車というアウェーで気分が悪くなるというような、

ありがちな、それでいて、実際にはそれ程ないがちな、そんな舞台に躍り出てしまったわけで、

そして、僕は色んな人に、優しくされてしまった。

まず、もう、すごい気分が悪くて、吊革につかまってんのがやっとみたいな状況になったとき、

一人目の優しい人が、席を譲ってくれたわけだ。

終電間際で、みんな疲れていて、絶対立っていたくないであろう、そんな状況で、この優しさ。

優しさの不思議なところは、それを使うことによって、得をしない、ある意味、損すらする。っていうことだ。

なのに、生まれる。

どっからともなく、優しさを操る人が現れる。

僕は、まあ、優しくされて、ゼロの状態から座席を突然、手に入れた。

で、座ってたんだけど、もう気持ち悪くて気持ち悪くて気持ち悪くて、吐いた。

ちょっとではあったけど。

半径15センチくらい。

でも、もう大抵の人は普通人間だから、わーって蜘蛛の子散らしたように、避けていくんだけど、

正直、気持ちわかる。僕だったら、ほんと舌打ちとかしてしまっててもおかしくない。

そんな中にも魔法が使える人がいて、

僕にハンカチ差し出したりしてくれるわけで。

すごい、二人目の魔法使い!って思ってたら、

いや、実際、いっぱいいっぱいで、そんなこと思ってなかったけど、

したら、今度は別の人からティッシュまでもらったりして、

つーか、横に座ってたオッサンなんか、俺の背中をさすってくれたりして、

もーどこの魔法の国だよ、ここ。

で、一回吐いたあとも、やっぱすげー気持ち悪くて、

フラフラと次の駅で降りたら、びっくりすることに倒れたみたいで、

したら、これまた全然知らない高校生くらいの若いお兄ちゃんたちが、何人かで肩を貸してくれて、

もうね、そんな若くして、魔法使えるの?って思って、

で、運ばれた救護室みたいなとこでは、駅員のオジサンに毛布みたいのかけてもらって、

もー、ディズニーランドよりマジカル。

んで、うろ覚えのうちに、実家電話番号を僕は言ったようで、

というか、しばらく帰ってもないのに言えたようで、

父親が血相変えて迎えにきてくれた。

ああ、こんな身近にも魔法を使える人間がいたのか、と。

で、久しぶりの実家で、母親や、弟たちにまで、さんざん看病してもらって、

なんつー魔法使い一家と思いながら、

寝て、起きて、今、これを書いている。

あと、仕事鞄が何だか出っ張ってるので、覗いてみたら、自分の買った覚えのないエビアンまで入ってた。

そういえば、倒れた時、誰かが「水飲め」みたいなこと言ってたなと。

僕はうろ覚えで「吐きそうで飲めない」と言った気がする。

僕はそんな名も知らない人が、すばやく自販機で、名も知らぬ僕のために水を買ってくる様子を想像して、

涙が出た。今頃。どうか、お名前だけでも。

僕は、昨日見た魔法使いたちを全然知らない。

運んでくれた若いお兄ちゃんたちに「ほんと、こんな親切にしていただいて」みたいなこと、

とぎれとぎれに言ったら、「いやー、人として当然でしょ」的なことを言われたけど、

もーね、人じゃないから!と言いたい。

君たちは魔法使いなんだよ!魔法を使ったんだよ!と教えてあげたい。

それに引き換え、僕の魔力はどうだろう。

僕のMP、よく見たらめり込んでないか?

ああ、僕も魔法使いになりたい。

魔法使いになって、魔法を使いたい。

傘を貸してあげたい。

「132ページの4行目からだよ」って教えてあげたい。

ここは俺に任せて、おまえは先を急げ!って言いたい。

席があったら譲りたい。

捨て猫がいたら拾いたい。

魔法使いになりたい。

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