2009-10-07

匿名性をねらってのボイチェは危険

ここ数年、動画共有サイトや生配信サイトが盛り上がり、動画を通じて、さまざまな人間の声を耳にすることが多くなった。

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そうした動画でよく見かけるのがボイスチェンジャーである。念のために説明すると、これは声を変えるソフトだ。

ずっと以前から、テレビでは、犯人を目撃した証言者が出演の際などに、プライバシーを保つためにボイチェが使われてきた。

だから、聞いたことのある人が大半だと思う。

このボイスチェンジャー略してボイチェが使われている目的は二つあって、一つは変な声になるのでネタとしておもしろいから、もう一つは匿名性である。

前者についてはここでは触れない。問題は後者である。

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ボイチェは匿名性を狙って用いられているが、その匿名性は大して高いものではない。

テレビで用いられるボイチェは、非常に高級なため、元の声を声紋解析ソフトで解析してもわからないようになっているが、

市販のボイチェやフリーソフトのボイチェというのは、声紋解析で容易に「誰それと声が一致する」と判明するのだ。

声紋解析というと、素人には馴染みがないかもしれないが、解析を行うフリーソフトが存在し、少し使い方を覚えれば、素人でも使える。

よって、素人でもボイチェの声の正体が分かってしまうのだ。

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ただし、声紋解析というのは、ボイスサンプルAとボイスサンプルBが声紋という点でどれくらい一致しているかを見る解析であって、

ボイスサンプルが無い人を割り出すことはできない。言い換えると、声紋解析をする時には、候補となるボイスサンプルを集めてきて、

どれと一番似ているかを判別することになるので、候補が多い時にはかなり面倒ではある。

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さて、ボイチェだから匿名性が確保されると信じて安心するのか、発声リズムイントネーションや口癖を変えない人もよく見受けられる。

話の内容には気を遣っても、無意識的な癖にまでは気が回らないようである。

ただでさえ、こうした癖というのは、気をつけていても本人の気づかない部分で露呈しがちなのに、全く気が回らないとなると、

それだけでかなり声紋解析の候補が絞り込まれてしまうのである。

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こうしたことから、ボイチェを匿名で好き勝手話すためのツールとして使うのは危険だといえる。

いわゆる「祭り」「炎上」の状態になろうものなら、ネットの向こう側でたくさんの素人が解析することとなり、たちまち誰であるか特定されてしまう。

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では、高い匿名性で好き勝手話したい時はどうすればいいか?

一つには、2chなどの匿名掲示板で我慢するということが挙げられる。

だが、音声で伝えたい場合もあるだろう。その場合には、「ゆっくり」など、音声読み上げソフトを使うのがよい。

そうは言っても、地声をそのまま匿名性の高い音声に変換したいと思う人もいるだろう。そういう場合には、代わりに話す人を置くという手もある。

また、これはお勧めしないが、ボソボソ話すなど声質を普段と変えてボイチェに掛けることで、比較的解析の困難さが増す。

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いずれにしても、匿名性を完全にすることはできないのであって、特定されたら困るようなことを話すからには、覚悟が必要だと思う。

  • 優秀なフリーのボイスチェンジソフトを教えて下さい。 男声から女声に出来るので。 有料なら良いのはそこそこあるんだけど、フリーだと機能制限されていたりで全然上手くいかない…...

    • フリーどころか、数万円くらいまでで買えるような市販のソフトは全部、解析できてしまうよ。 優秀って別の意味で言ってるのかな?だとしたら知らん。

  • 初音さん他にご登場願えば匿名性も担保されるかと。わざわざ生声つかうから問題だと。

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