2009-07-28

バザール方式で小説は書けるか

Eric Raymondのオープンソースソフトウェア開発に関する有名な論文伽藍とバザール」があるが,ソフトウェアってのは別にコンピュータプログラムに限らないわけで,例えば小説ソフトウェアだ.小説なんかは普通は一人の作家創造性に大部分依存しているところがある.つまり,上記論文でいうところの「伽藍方式」で制作されている.

一方でLinuxに代表される,大人数で寄ってたかって制作するタイプの「バザール方式」では,意外なほど高品質ソフトウェアができるという経験則がある.これを小説にも応用できないか.

上記論文の解説にもこうある.

伽藍方式は村上龍自分村上龍長編を書く方式、バザール方式は読書参加で村上龍長編を書く方式。有象無象を集めて村上龍小説を書かせた方が、村上龍一人が書くよりも優れた小説が書けると村上龍に言うようなものがこの論文

では実際に優れた小説は書けるのか.バザール方式で書かれた小説はあるか.

もともと,出版世界では作家の出してきた文章を編集者がチェックするというある種のコラボレーションの結果として成果物品質が洗練されるところが大きかった.インターネットが出てきた結果,文章を公開するのはとにかく簡単になったが文章を真面目にチェックしてくれる第三者の欠如による品質の劣化は避けられない.

多人数で文章をつくりあげていく例はWikipediaをはじめとして色々あるような気はする(Wikipediaの記事が高品質かどうかは別として・・・).それを小説でやったというサイトプロジェクトを知っていたら教えていただけないだろうか.

二次創作系の同人作品とかを見ていると,ネタさえあれば人は寄ってきそうではある.こういうのはSSを集積するサイトはあっても設定からして俺設定満載だったりでとにかく統一されていないので一つの作品にはならない.

考えられる問題

少なくとも世界観の構築にはバザール方式は向きそうだ.第一に設定は多ければ多いほど良く,皆の思い付きを集積することによって世界観はより深化される.また,大勢が参加することにより設定の矛盾は即座にチェックされ修正される.

SFファンタジーなどの世界観構築が重要小説には向くのではないか.

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