2009-06-16

可能性の話で議論するな

こちらが何かこうだと主張したとき、「そうじゃなかったらどうしてくれるんです?」

「もし違ってたら大事ですよ。ちゃんと責任とれるんですか」的なことを言う人がいる。

どのような集団でもそのような輩は存在する可能性があるが、知能が低い集団ほど多く存在し、

そのような間違った論理がまかりとおってしまうことがある。

これは典型的詭弁であり、かの有名な詭弁ガイドラインにも含まれている。

この詭弁のずるい所は、さまざまな可能性を考えることは知的な態度であるというコンセンサス

存在するのかもあやふやな極端な可能性であってもそれを考察させることで信憑性が増幅するという人間心理

を巧みに利用して、いかに馬鹿げた自説であっても真実味を持たせることができる

という所にある。

例えば、「東大生はお勉強が出来るだけでなく地頭も優れている」という事は、さまざまな根拠から自明のことであるが、

これに対して

東大生にも馬鹿はいるし、一概に言えないはずだ。例えばお前が社長だとして、

過去の業務成績から東大卒より高卒のほうがよく出来ると分かったらどうするんだ?

それでも東大卒のほうを優遇するのか?どう考えても高卒のほうを優遇するだろ?」

のようなことを言った馬鹿がいた。

まず他の条件が揃っていないから、東大卒高卒を安易に比べて判断するのは間違っているのだが、

そんなことは馬鹿連中は分からないから、上のような馬鹿意見に「そうだそうだ」と賛成する人が多数現れる始末。

馬鹿はこういう詭弁に簡単に納得するから非常に困る。

とりわけ、可能性の話で自説を補強する方法は、自由度が高いだけに、注意する必要がある。

というのも、どう見ても自分の言い分のほうが正しくて、議論に勝てそうだなと思っていても、

この種の詭弁を使われて周りの人たちを味方につけられてしまう危険性がつきまとうからだ。

実際にネット上の議論を見ていてもそういった詭弁が得意な自称「議論に強い」人がいる。

彼らは、議論に強いのではなくて、自説の主観的なもっともらしさを操作するのが得意であるに過ぎない。

上の東大卒高卒の例のように、あるのかも定かでないような可能性の話を出して、

馬鹿なこと言ってんじゃないよ」と言えば、相手はつい圧倒されてしまいがちだが、何も論理的には言い負かしてはいない。

可能性の話というのは、論理学的に言えば、真偽の定かではない命題に対して、もしそれを真と仮定したならばこうなるという話であって、

仮定の真偽がハッキリしない以上、自説の根拠とは出来ないはずの話である。

しかし、つい仮定の話だということを忘れてしまって、さも真実の話であるかのように錯覚してしまうのが人間である。

これは、他人を言い負かす時に用いられるだけでなく、自分の中で感情的に思考している時にもよく起きることである。

感情的な気分の時は、論理の前提を忘れてしまい、「もしかしてアイツ馬鹿にしてるんじゃないか?許せん!」と勝手に激怒したり、

「もしかしたらあの人は私のことが嫌いなんだろうか?そういえば、この前もあんな態度とられた。どうしよう嫌われてる」

勝手不安に思ったりする。

これと同じで、他者を詭弁で騙す人は、意図的にしろそうでないにしろ、個人の感情をうまく引き出すことで、

真偽値を主観的に逆転させたり、論理的飛躍を起こさせたりしている。

よくある一つのパターンとして、恐怖や不安を煽って、存在しないはずのことをさも存在するかのように言って購買欲を引き出す商法がある。

そもそも「何々は存在しない」や「全ての何々は何々である」という命題の真偽値を主観的に逆転させるのは結構簡単なことで、

一部の例や一部のパターンだけを取り出してこんな規則がありますよと言ったり、虚偽の体験談を作り出すことで信憑性を持たせたりすれば

馬鹿な人は簡単に信じ込んでしまうのだが、そこに恐怖や不安といった要素を絡めれば、なおのこと簡単に人は騙されてしまう。

可能性の話で自説を補強する時も、恐怖や不安を利用することが多く、「もしこうだったらどうするんですか?」という言い方をすることで相手を脅迫し、

相手や周囲の第三者に「もしこうだったらどうしよう」と不安に思わせて自分のペースに巻き込もうとする。

そうして、人々の中で持たれていた信念や知識の真偽値を逆転させ、さらに恐怖や不安を煽ることで各人のなかで論理的飛躍を起こさせる

というメカニズムなのである。

このようにメカニズムを理解すれば、この種の詭弁に翻弄されることは無くなるのだが、きちんとメカニズムを理解できない馬鹿

いつまでたってもこうした詭弁に振り回された人生を歩むことになる。

-

ブクマから。

このエントリー自体が「可能性の話での議論」である可能性がある。

うまい。実は、この種の詭弁詭弁であるかどうかの境界が曖昧なところが厄介。

「そうじゃなかったらどうしてくれるんです?」って言われたら「もちろん責任取りますよ」って返してる。

責任とれば主張が間違っても良いという場合にはそれで問題ないかもしれないけど、学問的に誠実な態度とは言えない。

やはり相手の学説・主張は間違っているということをはっきり言えないと困る。

特に、相手が無意識メッセージを刷り込んできた場合に、それに抵抗する間もなくメッセージを受け入れざるを得なくなるのは困るから、

きちんとメカニズムを理解したほうがいいという話なんだけどな。

東大生だから地頭も良いなんてことはない

観念的で感情的な反論ばかり。私は少なくとも100人以上の東大生の地頭に触れる機会があった。

地頭の良い人であれば、会話のテンポ、記憶力、論理の緻密さ、感性などから地頭があるレベル以上であるか見分けがつくものだ。

もちろん不得意なスキルはあって当然なのでこの中の一つが欠けていたからといって地頭が悪いとするのは早計。

ともかく、地頭の良い人にとってみれば、自分以下のレベル人間地頭については判断できるので、

東大生だから地頭が良いなんてことはないと言っている人間は、想像で物を言っているか、その人が会ったことのある全ての東大生の地頭よりその人の地頭は悪いか、

そのどちらかであろう。

そんなこと言ったら、地頭の悪い人に東大生の地頭の良さを納得させられないので、やむを得ず知能テストの結果を見れば自明ということに触れはしたが、

べつにそんな測定をせずとも、しばらく会話してれば分かるはずだよ。

あと、学歴至上主義は通用しないという反論は、地頭という意味を理解していないらしい。

いろいろとおかしな反論が多いが、東大生より高卒のほうが地頭が優れていると判断するに足るデータは今のところ見たことがないので、

あるものなら出してほしい。

  • ええと、なんというか……今日もお元気ですね。

    • そういうことしか言えないのか。つまらない人間。

      • やー、すいません。じゃあちょっとだけ。 読み間違ってたらごめんなさい。 まず、「詭弁ガイドライン」はネタの代物で、あんまり正しくないといわれている。 そんなものを例に挙げ...

        • 詭弁ガイドラインは信頼性が高くない根拠は? むしろ詭弁ガイドラインという単語から脊髄反射的に信頼性を失うような人間の信頼性が低いのでどうでもいい。 そういう読者に向けては...

          • 詭弁ガイドラインは信頼性が高くない根拠は? むしろ詭弁ガイドラインという単語から脊髄反射的に信頼性を失うような人間の信頼性が低いのでどうでもいい。 別増田だが、詭弁ガ...

          • 最近なりをひそめていたのに(ry また7時40分の(ry

            • 最近自演工作荒らしとか、痛い奴認定荒らしが流行っているな。 俺はこれまでにその時間帯に書き込んだりしていない。だいたい深夜0-3時に書くことが多い。

  • 一部は取った刀で返せそうな話ではあるな 可能性の大きさと構造をきちんと捉えるのが大切ということだろう レアケースならば相応しい程度の対策を行えばいい まずはメジャーケース...

    • その通り。 小さな可能性を膨らまして表現するだけでなく、 不可能を可能に表現することも出来てしまうということ。

  • おいおい、大丈夫か?増田 可能性の話といっても高卒が東大生の話は 高卒が東大生より優秀だったと1つでも具体例が上がれば、 増田の主張は崩れるんだぞ。 松下幸之助なんて小学校...

  • >「そうじゃなかったらどうしてくれるんです?」 >「もし違ってたら大事ですよ。ちゃんと責任とれるんですか」 ようは"責任とれ"ってことでしょ。 >知能が低い集団ほど多い ふ...

  • http://anond.hatelabo.jp/20090616032931 ネットで組織とか大衆とか個人を馬鹿呼ばわりする人って大抵その馬鹿に対して凄く無力だよね 力関係を考えると馬鹿呼ばわりは成立しないと思う 腹が立...

  • 可能性を全部出し尽くして、それぞれの確率まで想定して、その上で結論を出すのが議論というもので、「もし違ってたら大事ですよ。ちゃんと責任とれるんですか」というのは、ひと...

  • 高卒だとこうなります、ということですね、わかります。

  • 何より、論理性を重視した説得は、時間・労力がかかるけど、 一旦説得できれば感情論で動かしがたくなるという強みがある。 このあたりは俺とは認識が真逆だが、想定しているモ...

  • お笑いやミュージシャンに東大卒があんまりいないことは地頭のソースにはなりませんか? あとスポーツなんかでも基本的に脳の運動野の問題だからねえ。 ていうか俺の直感だと「中学...

  • http://anond.hatelabo.jp/20090616032931 なんとなく。

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