2009-06-15

小飼弾さんの書評が間違いすぎていて、ありえない

叩きではないのですが、

 

そもそも学術的にはイロモノの域を出ないリスニング学習の本を持ち上げたかと思えば、

その理論部分に問題があるという。

彼が何を書いているのか、最初さっぱり分かりませんでした。

 

反復学習の効果的側面は臨床データもたくさんありまして、リスニング学習は効果が

限定的だというのは1980年代からさまざまな論文で語られているんですけど。

それで、今度は単なる一症例、それも単なる脳卒中からの脳機能回復の体験談に過ぎない

奇跡の脳」を山車にして、両者を比較すると言う、心療内科世界からすると誤謬

としか言いようのない書評を書いておられます。

 

彼は、

「これははっきりと「No」と弾言させていただく。私にとって言葉は理解と表現の道具で

あっても、思考の道具では実はない。」

とまで言っていますが。

 

認知学で言うなら、言葉の理解と表現を行うのは、思考の「結果」であって、別物と

かそういう以前に、脳機能のうえで区別すらできないもののはずなんですが。

と言うより、言葉で理解していながら、「思考は言葉で行われる」という基本的過ぎる

主張に「NOと弾言」というのは、甚だおかしいです。意味が分からない。

 

さらに、

「同書で最も驚いたのは、左脳麻痺した著者が見た世界が、いかに私が「考える」

時の状態に近いかだった。自己の境界と時の流れがなくなったその世界にこそ、

「マイワールド」なのである」

集中している時の脳活性は自己の境界線(自己的知養)が発現しないのは当たり前

です。言語野が確立していない胎児にいる状態でも記憶は残り、のちに言語化されて

記憶が再整理され、胎児中の記憶が蘇ることは学術的にも確認されていますが、

これ、本論とは一切関係ありませんよね。

 

「本書の価値は、実践の方にある。ハウツー本にとってより重要なのは、理論

正しさではなく実践の効果である以上、本書はたとえ理論に納得できないとしても

価値がある。そしてその実践の効用が大きいことは、私自身を証拠として提示できる。

私も「耳勉強法」の実践者だったのだから」

その後も、彼独自のヨタ話が続きますけど、書評で出ている実戦方法と、この人が

やってきたリスニング学習法とは方法論が違いますよね。

「耳学習でかるたを覚えた」と言っていますが、文章記憶を行うのにリスニング

適しているだけの話で、これを数式や化学式の暗記に応用しろと言われても無理

でしょう。彼が言っているのは、簡単に言えば言語を効率的に習熟するには

リスニングも必要であるという、ごく当たり前のことに過ぎません。

 

「有名な話しであり、またこの話が「人は見た目が9割」のベースにもなっている

のだが、むしろ私が驚くのは、聴覚が38%もあることだ。」

これも関係ない話ですよね。聴覚による情報摂取比率が脳科学的に高いからといって、

ここで取り上げたリスニング学習法が実践価値があるという意味にはならないです。

むしろ、現在学習に関する研究では、視覚聴覚などの取り入れる配分をどうするか

というレシピのほうの調査が主で、学習障害が何故発生するかや、集中力との関係

といった分野が大変重視されるのですが、やはり本論とは何ら関係はない。

 

「ここで、今まで「耳勉強法」が今までそれほど活用されていなかったもう一つの

理由にたどりつく。それは「耳を使うのは非常時」という、耳のもう一つの特性だ。」

もはや、何を言っているんだか分かりません。

緊急時の情報優先が聴覚であるという学術論文は25年間のあいだで読んだことがない

ですね。危機対応能力を求められる職種の人は、嗅覚が鋭くなる傾向にあるという

調査報告がある程度で、聴覚が優先されるなどと言う話はまっとうな論文では

見たことがありません。

 

非常に不誠実で、不正確な書評で、脳科学認知に関する基本的な理解が不足した、

問題の多すぎる論述ばかりで、読んでいるこちらが逆に驚いたぐらいです。

 

臨床データを読みこなせるようになってから書いてください、というわけではない

のですが、知らない、分からないことに対する論述の慎重さ、丁寧さ、誠実さと

いったところが欠けすぎていて、残念に思いました。

ある程度、そちらの方面では専門であるわたしから見ても、まったく無価値な議論

ばかりだな、という印象です。

  • 「奇跡の脳」を山車にして、両者を比較すると言う、心療内科の世界からすると誤謬 としか言いようのない書評を書いておられます。 「ダシにする」の漢字は山車ではなく出汁のほ...

  • http://anond.hatelabo.jp/20090615160437 別に小飼弾シンパでもないけど、 この人はなんつーか、文章の理解力が少ないように見える。 >言葉で理解していながら、「思考は言葉で行われる」とい...

    • >それは別におかしくないでしょ。 >PC内で情報処理を行うのだって、最初から最後までテキストベースで処理されるわけじゃなく >バイナリに翻訳されてから行うわけだし。 コンピ...

    • おいおい、コンピュータの情報処理と脳記憶のメカニズムを同じに考えるなよw AI研究とかやると、全部の枝分かれを何万件何十万件と総当りするようなコード 書きそうだな、おまえ

    • 君みたいな勘違い君ってたまにいるよなあ。 もう少しコンピュータ以外のことも勉強した方がいいよ。

    • http://anond.hatelabo.jp/20090616150924 の勘違いは確かにひどいけど、元増田のほうもかなりひどい。 意見の食い違いの大部分は、結局「思考」って言葉の定義によってしまうんだろうが、 それ...

      • 思考というのは定義がはっきりしている準臨床用語なのだから、それをすっ飛ばして 書評を論考としてあげてしまっているほうがおかしい。 ただ、dankogaiはそれが持ち味、というのは分...

      • 元増田の言っていることは正しいよ。 まぁ、医療倫理しか勉強したことはないけど。 少ない臨床例や、効果は限られていると分かっているリスニング記憶法を持ち出して、 書評書いて...

    • http://anond.hatelabo.jp/20090616150924 を 「脳の中の処理はバイナリで行われる」 と読み取る頭を持つ人は たぶん脳がどっか失敗してる。

    • 思考をノイマン型処理の延長線上で考える阿呆がいるのか 国家試験通らないだろうな

  • 子飼弾の書評(笑)になんでこんなマジレスするかなあという印象。 裸の王様に「裸だ!」って幾らいっても、本人が裸だと微塵も思ってなきゃ、もう我々は大人しく無害な毒を吐き散ら...

  • http://anond.hatelabo.jp/20090616150924 に噛みついてる池沼どもはなんなの? 俺が脳の中の処理がバイナリだとかどこに書いたよw マジ爆笑したw http://anond.hatelabo.jp/20090615160437 >医学部入った...

    • ディスプレイを前に爆笑できるぐらいの元気が欲しい。

    • お前が完全に論破されて木っ端微塵になっているようにしか見えないが… 頭は大丈夫か? ていうか、記憶がバイナリ処理とか医学的にありえんからなあ。 まあ、増田で良かったね。

    • 脳処理の、それも認知という医学的に完全に定義されている命題に対する比喩で バイナリを持ち出した時点でバカにされるのは仕方がないと思うぜw 全否定されて頭から湯気が出てる...

    • http://anond.hatelabo.jp/20090616163600 ASCIIコードもUTF-8もこの世の中の文字コードは、全部バイナリコードだよね。 バイナリじゃないテキストベースってなに?

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