恋人と別れても生活はほとんど変わらなかった。例えば、僕は今、日本ではない国の大都市に、一人で生活している。月曜から金曜までは会社に行く。肉体的にきついことはないが、それなりに消耗する類のデスクワークだ。これまでそれなりに山場を超えてきて、ぼちぼち順調、というところだと思う。フリーの仕事の量をもう少し増やしていけたらいいなと思っている。そして週末は部屋の掃除をして、母親に電話をして、仕事をする日もあれば、友人と会ってゆっくり過ごすときもある。
恋人がいる時にはわからなかったけれど、僕は途方もなく独りだ。友人はそれなりにいる。でも、結局のところどうしようもなく、寂しい。夕ご飯を一人で食べながら、本当にそう思った。前の恋人と一緒だった時は僕はこんな風じゃなかった。何もかもが、満たされていたんだ。
でも、これは自分で望んだことかもしれない。僕は今、一人で生きているんだ。中学生の頃、僕は友人に毎晩電話していたような気がする。電話というよりコミュニケーションを楽しんでいたんだろう。別に用事はなかったし、話す内容だって大してあるようには思えない。テレビはそれほど見ないし、音楽を聴き、本を読んで、映画を見る。今の僕とほとんど何も変わらない。昔と違うのは、自慰の回数が減ったこと、酒を飲んでもいいこと、位じゃないかな。あと、お金はあの頃より大分持ってる、か。
誰にも頼らない自分だけの世界。公園の街頭の下、少し黄色みがかった白のイヤーバッドを取り出して、ひとり iPhone から音楽を聴く。犬の散歩をしている人たち、僕よりもずっとお金持ちのマンションに住んでいる人たち、彼らを横に、僕は誰に電話しようか考える。誰に電話しても通じない。この寂しさが消えるなら、死んでしまってもいいな、なんてはかないことも思う。強くなりたい。そう思ってたどり着いたのはこんなにも寂しい世界だった。
僕は恋人と別れた。 何の理由も無い。彼女は僕と結婚したがっていたし、僕は彼女と結婚するのが無理だと思っていたからそう伝えた。僕は彼女のことが好きだけれど、僕には彼女より...
恋人と別れても生活はほとんど変わらなかった。例えば、僕は今、日本ではない国の大都市に、一人で生活している。月曜から金曜までは会社に行く。肉体的にきついことはないが、そ...
浸ってるところ恐縮ですけどね、その「寂しい世界」とやらは終着点じゃないですから。 それが孤独と向き合って何かを為す人間の始発点なんで。間違えないでね。ようこそ。
シャワーを浴びながらふと考える。あの時、なんで死んでしまわなかったんだろう?もしあの時に僕に今の僕が伝えられることがあるとすれば、何年経っても、何も変わらないよ、って...
続きが気になる