2009-02-03

 内航フェリー補助金

 高速道路国道化して無料化すると、内航フェリーのほとんどは競争力を失うので、廃業することになる。廃業しないで済むのは、短距離便と空港の無い離島便ぐらいという事になる。短距離便は橋梁や海底トンネルによって置き換えられるし、離島便も、空港が作れないほど小さい島だけという事になるであろう。

 内航フェリー事実上完全廃止という事になるが、何か、不都合があるというのであろうか。

 貨物船や客船は成立するが、貨客船の需要は、もともと落ちている。船舶輸送中のサービスを一切しない貨物船においては、荷役コスト重要要素であるし、船舶輸送中のサービスが命である客船においては、イメージ戦略こそが重要となる。貨客船は、そのどちらでもなく、橋やトンネルが無くて、それを使うしかないという客の弱みに付け込む商売でしかない。貨客船が不便で高価だから、橋やトンネルを望む客が出てきた時点で、存在意義が否定されているのである。

 地方の港に揚がった鮮魚大都市に運ぶ船便というのは、ナンセンスである。船で運ぶのならば、地方の港に揚げずに、漁船が直接消費地の港に行った方が、合理的である。そもそも、地方の港に揚がった鮮魚は、トラック便で運ばれる。貨客船の巡航速度は20ノット(時速37km)ぐらいで一番燃費が良くなるように設計されている。10時間で370Kmである。トラックならば時速90Kmで走れるので、4時間ちょっとで追いついてしまう。地方の港に揚げてセリにかけてトラックに積み込むまでに3時間かかったとしても、7時間後には追いついている。休憩や道路事情による予備時間を加えたとしても、トラックの方が、はるかに早いのである。

 工業製品を運ぶのにも、郵便物を運ぶのにも、速度が重要であり、高速道路が張り巡らされている状態では、わざわざ港で船待ちをしなければならない船便よりも、トラック便の方が速い。

 競争力の無い内航フェリー補助金を出すのであれば、かつての石炭鉱業合理化臨時措置法と同様に、廃業を前提とした処理とするべきであろう。

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