メガネ兄弟の弟メガネジュニアは皮を剥いたきゅうりのように青白く痩身で、その名の通り黒い縁のメガネをかけて石板を敷き詰められた闘技場に上がった。細かい性格を表すように時折クイッとメガネをあげる。
対する乳首兄弟の一番手は弟の乳首リトル。白いタンクトップ一枚でマッチョな体を誇示するように闘技場を踏みしめた。乳首兄弟の兄、乳首ラージはパイプ椅子に座って腕組みをしていた。弟同様にマッチョな体は、パイプ椅子から大きくはみ出し、子供用の椅子に座っているような按配であった。
「さて始めましょうか」メガネジュニアがクイッとメガネをあげる。闘技場下のメガネ兄弟の兄メガネシニアが、弟の動きに連動するようにメガネをクイッとあげた。メガネシニアは黒いサングラスをかけ、表情はその奥に隠されていた。
「気づいてないのか。もう始まっているぜ」乳首リトルはタンクトップを脱ぎ捨てた。その名の通り小さめの乳首とアンバランスな大き目の乳輪が姿を現し、その瞬間、メガネジュニアの周囲の空気がぴぃーんと張り詰めた。
「こ、これは!?」メガネジュニアのひょろ長い痩身は凍てついたように動きを封じられていた。
乳首リトルが不敵な笑みを浮かべてつぶやく。
「乳輪界・・・・・・」
「知ってるんですか?兄さん!?」
「ああ、昔民明書房刊『乳首の秘密☆』で読んだことがある。自分の周囲の空間と自らの乳輪を同化させ、空間を意のままに操ることが出来る能力者がいると。その奥義が乳輪界だ。まさか、コイツがその能力者とは!!」
「ほお、この技を知っているやつがこんな大会にいるとはな。だが、知っていたとしても防ぎようは無いがな」
メガネジュニアの体は、ぎちぎちと見えない縄に縛りあげられるように軋んだ。
「空間と乳輪を同化させていると言う事は・・・今ジュニアを絞りあげているものは、ま、ま、まさか!?」
サングラス越しにメガネシニアの焦燥の表情が垣間見える。見えざる呪縛の正体に恐怖し、メガネシニアの口の中はすでにカラカラだったが、それでも喉の奥にへばりついている唾液を飲み込まずにはいられなかった。
「ふ、感がいいじゃないか。そう、御推察の通り、乳毛(ちちげ)だ!」
「いやああああああああああああああああ・・・・・・」
あるいはメガネジュニアにそういう趣味があれば、むしろ喜んでいたかもしれない。だが、二次元少女をこよなく愛していたメガネジュニアはむしろノーマルに近く、その縛めはあまりにも残酷な仕打ちであった。メガネジュニアはその場に倒れることすらできない状態のまま、ぶくぶくと口から泡を吐いて失神した。
乳首リトルは、戦闘不能に陥ったメガネジュニアからメガネシニアの方にゆっくりと視線を移し、静かに笑った。
「次はお前の番だぜ」
「じゃ、CMはいりまーす」
そう言って、どこかに消えて行った。
この時点で乳首ラージを温存したまま、乳首兄弟の二回戦進出が確定した。
リング上でマイクを握り締めた男が選手をコールする。 「エントリーナンバー21! タンクトップ兄弟!」 「暗黒!戸愚呂っぽい兄弟統一トーナメントでエクササーイズ。ワンツース...
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