2008-11-06

エスプリの問題

京都ぶぶ漬け伝説について随分な勘違いエントリを読んだ

http://taketaka.cocolog-nifty.com/mogu/2004/05/post_24.html

京都の「一見さんお断り的有名店」に行ったら意外なことに「どうぞ」と言われて上がったら「ぶぶ漬け」を出されてすごすご帰る→後日某社長夫人に同伴して意趣返しやったー!、というエントリ

色々な意味で間違っているので、少し指摘。ただ自分は京都人でなく京都人の知り合いがいるだけ。それを踏まえて京都人からツッコミがあれば聞く。ちなみに多分京都人なら本来この程度のエントリ自体そもそもスルーすると思う。こういういかにも分かってない勘違いをされるのは慣れっこだろうし、ましてその解説などという無粋な行為自体好まないだろうから。

以下京都人ルールに則って解説

(1)そもそも「一見さんお断り」が何のためにあるか?

それは「分かってない人」を排除すること自体を店の価値にしているから。そして、店こそ構えて営業しているが、これは万人に媚びる「商売」ではない一種の「趣味」なのだ、という余裕あるスタンスをもってもてなすことを最上と考えるから。

ファミレスで走り回る子どもを見かけて不快な思いをしたことがあれば、くつろぎを求めて客が来る店において「分かってない人」を排除することの価値は分かるだろう。もちろん「知人」の紹介で来た人だって、初めてのときは騒ぐこともあるかもしれない。だがその場合は紹介した「○○さん」に対して文句を言うことができる。「こないだ連れてきやはった○○さん、その後ようきはりやすけど……」…言われた側は、この「…けど」で色々と察して、件の知り合いに「あんまり無粋なことをしちゃいけないよ」と諭す。客と店が相互に交流しつつ成長することを期待するシステムが「フリの客を断る」システムである。京都の「一見さんお断り」店は、店であって店ではない。たとえば礼儀に厳しい知り合いの家を訪問する感覚を持ってないといけないということ。

従って、上記のエントリで明らかにおかしいのは、その店が「一見客を店内に入れている」という所。それをするならその店は別に「一見さんお断り」ではない。「お断り」の店なら、店先で「うちは予約の(つまり知り合いとご紹介の)方でもういっぱいいっぱいでして…」と断られる。わざわざ店に挙げて追い返すなんて「関東人の脳内ギャグで一見さんお断りのフリをしてる店」でもないかぎり、そんな無駄なことする意味がない。

(2)「ぶぶ漬け伝説への誤解

そもそも「ぶぶ漬け」というのは出すものではない。これも件のエントリが全く分かってない、というより京都の文化を知りもせずバカにしてると感じられる部分。

ぶぶ漬け伝説」を正しくたどれば、そのおおもとはおそらく「なんもありまへんけど、いまぶぶ漬けなっとご用意させていただきましょか」であり、その意味するところは

私はあなたが来ることを全く予期していなかった…あなたの訪問は事前の連絡もない無礼なものであり、(あるいは来て良いという返事のない訪問が)訪問先にとって大変な迷惑であるという常識をあなたは持つべきであろう?しかしながら、お上がりいただいた上はもてなしの準備をせざるを得ない。もしあなたが、突然の来訪にもかかわらず一応は歓迎すべき程度の客であるなら、失礼ながらお待ち頂いて私は時間をかけて準備することも厭わないが、私があなたに用意するのは「ぶぶ漬け」である。冷や飯にお湯をぶっかけただけのものである。この意味がおわかりか?来客に何かを出すという礼儀自体は踏まえながら私があなたに示すのは「最低限かそれ以下の」礼儀だ。つまり私は今現在もあなたをもてなす気は、欠片も……これっぽっちも無いということだぁっっっ!だから形だけ「もてなそうか」と聞いているその皮肉をあなたは当然感じ、そして「ぶぶ漬け」などという粗食でもてなされること自体を恥じるなら、あなたはその申し出を当然辞するべきであるし、すなわち自ら退出することを選ぶべきだ。要するに、常識あるなら自分から「すいません。帰ります」って言いなさいよねッってことだ。

というものだ。こういうメッセージ内において『実際にぶぶ漬けを出す』という行為があり得るものかどうか、まさに常識で判断されよう。「ぶぶ漬け」とは「抜かずの剣」であり、「『ぶぶ漬け』を出すぞ!」という台詞が脅しになる相手に対して用いる言葉の上だけの存在なのであって、現実に「ぶぶ漬け」を出す人間がいたらただのバカである。ましてそれを何かのメッセージとか勝手に理解するなんてバカの二乗としかいいようがない。

(3)「まずビール

この神経もよく分からない。一流店にわざわざ行ってなぜ「まずビール」なの?それは食事を旨くするの?それとも舌も神経も麻痺させるだけなの? ちなみに何のビールを頼んだの?まさか銘柄も指定せずに「とりあえずビールください」とか言ったの?バカなの?一回千円で勘定が済む居酒屋なの?

せめて「すっかり秋になりましたね。そこで松茸…とかって…あんまり月並みですかね(笑)」「とりあえず喉が渇いてるのでお茶でもいただけますか」「おすすめお酒があったら教えてください。ちょっと一杯やりたい気分なので(笑)」くらいのことくらいは言ってください。

(4)「京都に知り合いのいない「一見さん」が今日京都でこのような悲しい出来事に遭遇していると思うと胸が痛くてならない」

そりゃ「知り合いがいない」人が「知り合いだけ来てくださいね」という店に行けないのは当たり前のことで、悲劇でもなんでもない。これを悲劇というなら、何ならあなたの家に突然乱入していいのかよ?と言いたくなるような無茶。お客様神様ではないよ、別に。

というわけで、別にこんなの「京都に負けた話」でもなんでもなく、知り合いでもなんでもない店に行って迷惑だけかけて帰ってきました、って迷惑話だと思う。つーか、知り合いがいるなら最初からその人に頼んで一緒に行けよ、と。店の側から言えばこのAさんなる人物「迷惑かけるだけかけて勝手に逃げ帰った上に後日知り合いと来る迷惑なバカ」という位置づけは全く変わってない。店から尊敬される客になって初めて「勝った話」になるわけで、今のエントリだと単なるバカの話にしか見えない、店の方こそ良い迷惑でしたねお疲れ様、という感想しか持てません。

まあ、なんですね。

京都の一流店とか、そんなに行きたいですか?

価値が分かんないものを、分かるフリするとか

無駄だからやめといた方がいいんじゃないですかね。

  • その文化、ただのネチネチした底意地の悪い嫌な奴、という感じしかしないなー。 どうでもいいけど。

  • 「友達の体験談」のほとんどは作り話だからな。

  • ・その店は別に「一見さんお断り」ではない。「お断り」の店なら、店先で(略)と断られる ・店に挙げて追い返すなんて「関東人の脳内ギャグで一見さんお断りのフリをしてる店」 ...

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