長男の右手が西の方向を指した。
「なるほど……」
その場にいる五人の生唾を飲む音が、六畳一間に響いた。
「せーの」
掛け声と共に全員で西の方角を指す。目を瞑りながら。
「き、聞こえるよ!」
一人が声をあげると全員が「おおっ」と声を揃えた。
その音は耳で聞いているんじゃなかった。脳が直接聞いていた。
「相変わらずすごい能力だな……」
ニヤリと笑う次男。垂れた涎がピチャリと床に落ちた瞬間、彼の首が180度真後ろに曲がった!そして戻った!
「ふぅ。最近凝るんだよねぇ」
彼は首を一回転させて肩こりを解消させることができるのだ。
「まったく羨ましいぜ」
磨いていた眼球を戻しながら言う三男。
しかし、その言葉には全く心がこもっていなかった。大学のレポートのことで頭がいっぱいだからだ。
「ただいまー」
戦慄が走った。息を潜み、帰ってきた何者かの様子を伺う。