2007-08-22

ここまで外部ブログトラバされる増田も珍しい

http://anond.hatelabo.jp/20070821033820

上場目的ベンチャーに限らず、多くの企業にとって「人材は宝」などという言葉が方便であることは、先のバブル崩壊で証明されている。

全てはカネ、カネが全てだ。

リストラとは名ばかりの、芸のない人材切り捨て、雇用抑制が横行し、派遣パートバイトなどの賃金の低い非正規雇用労働者が増加した。企業は「低い人的コスト」という蜜の味を占めた。同じ仕事内容でありながら、正社員でないばかりに生活の困窮と雇用の不安にさいなまれる多くの人たちが悲鳴を上げている。

企業内の構造改革も行わず、高い労働コストが必要なシステムのまま人員だけを切り落とし、クビになったら「失業」、会社に残ったら「過労」という、「いびつな二極化」も生み出した。過労死過労自殺社会問題化した。1998年以降「景気は上向いた」と言われる現在であっても、自殺者は3万人を下らない。

しかし世論(いや、マスコミか?)は「企業コスト削減が推進されている」と称賛し、その影で泣いている人々を無視した。

アウトソーシング」という響きのいい言葉を担ぎ上げて、多くの製造業人件費の安い中国東南アジアへ進出した。今まで長年築きあげた、国内の中小零細企業との関係をばっさり切り捨てて。そのため東京大田区大阪東大阪市、他全国の都道府県に広がる、小さな町工場たちが無念の内にシャッターを閉め、二度と開けることがなかった。

なかには、元請けの立場を利用して圧力をかけ、下請け工場財産である設計図や仕様書技術マニュアルを奪い取り、それらを中国の提携企業に横流しして、現地での生産体制が整うやいなや、その下請け工場から仕事を全て引き上げる、などの卑劣な行為も起こった。これは、企業による強盗殺人にも等しい。

「国際的な企業競争に勝ち抜くため」と、多くの大企業競争社会を謳(うた)っている。グローバルな経済で勝ち抜くためには、必要不可欠だと。ただ、競争社会なら、全ての企業、個人が、「公平」とは言わないまでも、「対等」なはずだ。実力のみで優劣が決まるからこそ競争社会ともいえる。しかし、日本においては、企業内部における「上司と部下」「先輩と後輩」などの年功序列企業間における「元請けと下請け、孫請け」などの、いわゆる「親分と子分」のような舎弟関係が幅をきかせているのが現状だ。

つまり「無能だがカネ、権力のある親分が、競争で勝ち抜くために、その下の子分達に大きな負担、苦痛を強いている」と取れる状況も多い。そういった仕組みが良いか悪いかは分からないが、それで本当に競争社会で勝ち抜けるかどうか疑問だ。

景気回復基調、と、さんざん多くのメディアで目にする。東京証券取引所株価表示は、銘柄と価格の流れるスピードが速くなるほど、売買が活発に行われていると聞く。景気も、お金の流れる速さや量が多くなっているのであれば、確かに回復したと言えるだろう。しかし、その流れる輪は、明らかに小さくなっている。多くの地方都市が、バブル崩壊以降その巡回経路から外された。もちろん、輪の中心が東京なのは言うまでもない。

先の政権末期、少子化対策にかなり大量の予算が拠出されたが、特殊出生率は、予想を遙かに下回り、戦後初めて人口が減少した。しかし、先の参議院選挙少子化が争点になることは皆無に等しかった。個人の推測の域を出ない愚考だが、政府は「人口減を前提とした経済政策」にシフトしたと考えている。

だとすれば、日本の景気は、上昇するにもかかわらず、その規模をどんどん小さくしていくように思えてくる。一部の人たちのための景気になってしまうのではないか。文字通りの格差社会だ。

一行目のトラックバックに、企業経営者ベンチャー創業者の反論を読んでみたいところだ。

「そもそもが生きるに値しない、代わりなど幾らでもいる労働者は、会社のためだけに働いて至極当然だ」という極論を、誰もが納得できるように書いてのける人間がいるとしたら、見ものだね。

記事への反応 -
  • https://note.mu/whynotgetrich/n/n3b40d12f10d5 に移行しました。

    • http://anond.hatelabo.jp/20070821033820 上場が目的のベンチャーに限らず、多くの企業にとって「人材は宝」などという言葉が方便であることは、先のバブル崩壊で証明されている。 全てはカネ...

      • 企業が金にこだわるところについては反論とくになし。 ただひとついえるのは企業にとっての金は信用と同義というところかな。 そういう点において従業員の会社への信頼などはまさに...

    • これに対するひとつの解答が、「経営と開発(または主要業務)を切り離すこと」。 Googleが成功した理由のひとつが、「投資が、開発を守ったこと」と某投資家から聞いた。Googleには、Yahoo...

    • http://anond.hatelabo.jp/20070821033820の増田です。 予想以上の反響に大変驚いております。 あまり時間がないので、あまりまとまってませんが、フィードバックが多かった点について補足したい...

      • VCについて 株式会社をつくって適当にプレスリリースを流すだけでVCが寄ってきます。 プレスリリースを打つ行為というのはお客さんに広くサービスを知ってもらうためではなく、VCホイ...

      • しかし、迷走に巻き込まれた社員達の視点で読めば、ベンチャーがどのように迷走して、社員がどのような目にあうのかが見えてくると思います。ほとんど似たり寄ったりなイベントが...

    • 背伸びして上場を目指す経営者に対する10のお願い http://anond.hatelabo.jp/20070821033820 ふーん、それで結局何?経営者は従業員に優しくすることだけ考えろっていうこと?ふざけんじゃない。...

      • >何のために経営者はそんなに従業員にやさしくしなきゃならないの? 「そんなに」の程度はさておき、己の事業の為に他人を使うのだから見返りを与えましょうって事でしょ。それは...

      • 社員のために会社があるわけではないからこその、「お願い」なんじゃん。 増田の言っていることは、それほど間違っちゃいないが、我田引水の曲解ではあるな。

      • マザーズに上場している企業の経営者が言いそうなこと。 上場がゴール!ですか。

      • はっきり言って、経営者にとって、無理にでも上場するのが投資を回収する限られた手段なんだよ。上場は、1回限りの高値売りのチャンスなんだよ。実力をはるかに超えた評価で売却が...

      • あなたが言うほど経営者が個人としてリスクを負うようなことはありませんよ。 上場を目指す企業には大抵バックにVCとかついてるでしょ。 リスクを負っているのはそのVCであって、経営...

        • リスクとコストを他人に負わせて、自分のリスクとコストを最小限に抑えるのは、資本主義における基本的なやり方だからなぁ。批難されるようないわれはないと思う。

      • http://anond.hatelabo.jp/20070823110922 おたくらがそういう積もりなら、例えばこっちは会社で得た技術を持ったまんま転職したっていいんだぜ。ある程度軌道に乗っているとはいえ、ベンチャー...

      • というか、http://anond.hatelabo.jp/20070823110922 こんな考え方で上場できたらそれはそれで不思議だわ。 相当運が良かったか、社員の資質は問わない業種だろうね。 一人でやって下さいってな...

    • 好景気のご時世を反映した意見表明だよね。 現代の労働市場は比較的柔軟だしさらにIT系ともなると流動性は他よりもずっと高い。自由な市場だ。だから構造的不満なんか通常の労使レベ...

    • http://anond.hatelabo.jp/20070821033820の増田です。 最近話題のえがい人を見てすごく懐かしい気持ちになりました。 私も学生時代に起業して(その後買収されて、上場に至り、前エントリーのよう...

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