それで我が家は家庭崩壊。思春期の多感な時期をそれに振り回されて過ごした。
高校受験時も私は一人暮らしをした。子供を大学まで出した父親のことは尊敬しているけれど、人間的には大嫌い。一緒に暮らし始めて何年か経つ。父とはあまり口をきかないまま、毎日生活している。両親の関係も最悪。二人はもう口もきかない。一人で暮らしている時も家族でいる時も、静かな家の中にかわりはないことを知った。
最近、父の眠りが浅くなったのを感じる。夜、今までは飲まなかった酒を含んで眠ったり、夜中起きだしてテレビを見たり、不眠症にでもなってるんだろうか。
もう父もいい年だ。きっとあと何年かしたら死んでしまうのだろう。
最近の、どこか弱弱しい丸まった背中を見ていると悲しいなあと思う。老いには流石の父も勝てなかった。
それと同時に思うのは、彼が死んだらうちの家計はどうなるのだろうと現実的な問題のこと。
彼が死んだら私が稼ぎに出なければならない。きっと上の兄弟のように大学院までは出して貰えないだろう。
親の死を考えて嘆くよりも自分の身の上の心配をする私はきっと、心の冷たい、悪魔のような子供なんだ。
おとうさんがしんだらどうしよう。
伝えられる言葉は今のうちに、という想いが胸の中に浮かぶけれど、どうしても未だ許せない。