シロツメクサが一面に咲いた児童公園に、黒いマフィアの一団が集結していた。
彼らは実質この街の支配者だ。
直立二足歩行を行い無駄なことばかりしている生き物から、
やすやすと日々の糧を拾い上げ、間違ってもあくせく働くようなことはしない。
王者の特権のごとく、朝は日の出と共に街中の空を雄叫びを上げながら滑空し、
夜になればねぐらに帰って宴を開く。
それをうとむ森の同族たちも少なくはなかったが、
その真っ黒な体躯や圧倒的な数を誇るその集団に、まったく対抗しあぐねていた。
そんなマフィアの一団の中でも、ひときわ立派な毛づやをした者がいた。
おそらく彼はマフィアのボスだろう。集団の前にばさりと飛び降りた。
彼は黄色くて真っ平らで、一見ひどく美味しそうに見える物体・・・黄色いケーキを、
その刀剣にも似た真っ黒な嘴でくわえていた。
頭首の到来に全員が敬意を表した後、集団の中で、一番若いひとりが口を開いた。
『ボス』
「なんだ」
『ボス、ずいぶん美味しそうなものを抱えていますね。』
「ああ、これか。欲しいのか。」
『いや滅相もない。ただ、それは俺たちが知らないものなので、
いったいどんな天国のような味がするのかと、ちょっと好奇心が沸いたのです。』
「それはそうだな。しかし、お前は馬鹿だ。」
『・・・・・・・?』
「これは意地汚いお前らには食い物に見えるかもしれないが、とても危険なものだ。」
『そうですかねぇ、黄色くて柔らかそうでとっても美味そうですが』
『・・・すいません』
「まずお前は、俺たちがどうやってこの街に君臨したのかわかっているのか」
『えっと、長く鋭い刃のクチバシ、夜闇より深い漆黒の翼、誰にも負けない誇りに満ちた眼、でしたっけ』
「そうだ。しかしそれではせいぜいこの街を仕切るのが精一杯だ。
昼も夜も、我らが世界の限りを飛び回るには、もっと強力な武器が必要なんだ。
お前にそれがわかるのか。」
『・・・すいません。しかし、そうなるとそれがその武器ってわけですか?』
「当たり前だ!だからお前は学がないんだ。いいか。これは拳銃やダイナマイトのような
チンケな武器とは違う。持っているだけで相手を脅せる究極の兵器なんだ。」
『・・・・・・。』
「もしその気になれば、こいつを使えば、小さな国ならまるごと吹き飛ばせる。
だから出来ようが出来まいが、とにかく持っていることが重要なんだ。」
「お前達はただ毎日エサを喰らい、実にもならないことをだらだらとしゃべり、
無駄に子孫を増やして寝腐るだけだ。もし俺のようなボスがいなかったら、
お前らはとっくにスズメのエサになっているだろうよ。」
『・・・すいません、ボス』
「そうだ。もっと感謝しろよ。俺がただ何かをしていると思うな。俺のやることには
必ず意味があるんだから、お前らは少しでもその小さな頭を使って俺がいかにお前らの
事を考えているかを想像して、俺のために動くんだ。わかったか」
その後も頭首の演説は続いた。
「じゃあ俺は行くからな。俺が帰るまでには、ちゃんとねぐらを整えて、
いつでも戦いに備えられるように準備しておくんだぞ」
『もちろんです、ボス。行ってらっしゃいませ』
その言葉を聞かないうちに、ボスは秘密の隠れ家に向けてあっという間に飛び去っていった。
もちろん、咥えていた黄色いスポンジケーキは、隠れ家で美味しく頂戴した。
>加えていた黄色いスポンジケーキは この誤字で全てがダイナシティ。
思いもしないところでオチをつけてしまった未熟者グラフティ。 恥ずかしげもなく上塗りしてみました。
コーヒー話が盛り上がる。お茶目な姉ちゃんにはてブが集まる。そんな増田が好きだ。だから、治らないのかなって増田や、不器用な親父がガンだった増田や、振られた増田にも愛の手を...