2007-01-18

わっふる7

 高田馬場駅構内のスタバの窓席で本を読んでいた時、横からそわそわとした感じで時折本を覗き込んでいたのがI子だった。僕に何か話しかけたいような雰囲気もあったけど少ししてI子は店を出て行った。僕は後ろ姿を目で追った。170センチくらい。20代後半。長髪。痩せて背の高い女の子という印象が残った。

 二度目に会ったのも同じ席だった。I子が先に同じポジションにいたのだけど僕は以前と同じ子だと気が付かなかった。髪を束ねていたし眼鏡もしていた。彼女が僕に気が付きそわそわとした気配を漂わせたせいか、バツ悪く偶然二人で顔を見合わせた。I子は顔を真っ赤にした。僕はとっさに、あ、失礼と小さく口をついた。それから気まずく黙っているとI子は小声で以前ここでシルヴィア・プラスの本読んでましたよねと言った。それが僕と彼女出会いになった。本の話や映画の話を他愛なく続けると大学時代恋人のような気分になった。その分I子が突然沈黙するとさっきまで見知らぬ同士だったので気まずくなった。彼女は逃げるようにその場を去った。

 I子を裸にして抱いたのはそれからひと月後くらいだった。待ち合わせて予約した店でビストロ料理を食べワインを飲んだ。店を出てから黙って手を繋ぎラブホテル街に向かった。新しそうな白いホテルに入った。言葉を交わすこともなく二人とも裸になり立ったまま抱き合った。I子は怯えていた。わたしだめかもしれないと謝るように言った。

 I子は性に開花していなかった。キスしても耳朶を甘噛しても緊張だけが伝わってきた。乳首に触れるとぴくんと身を引いた。愛撫というわけにもいかない。ヴァギナに触れても湿る感じはない。このままクンニリングスしてもI子は緊張したままだろう。

 ベッドに横になりI子の髪を撫でながらセックスしなくてもいいよと告げた。I子は黙っていた。時間になって店を出た後I子と一緒にゲーセンに行き彼女にもゲームをやらせた。高校生くらいのとき夜遊びをしてなかったようだ。深夜に別れた。僕たちの関係は薄くなっていくだろう。セックスがうまく行かない関係は続かない。セックスがうまく行けば空しくても関係は続く。

 二週間後深夜に彼女から電話があった。すぐに来てと言った。タクシーを呼んで指定のコンビニに入るとI子はごめんなさいと言った。何かあった? I子は俯いて、K君、セックスして、痛くてもいいからと言った。コンビニからラブホテル街は近くI子は最初からそのつもりでいたのだろう。

 部屋に入りI子を裸した。僕も裸になった。直立したままのI子の前で僕はしゃがんで恥毛に頬を寄せ、舌で性器を探った。そうすることで僕はペニスを勃たせた。I子の性器から少しはみ出ている襞に舌が当たるとI子はぶるっと震えた。でも快感ではないのだろう。I子をベッドに寝かせ、子供が手書きの地図を持ってお遣いに行くように女の快感の地図を辿った。でもセックスは無理のように思えた。ペニス萎えた。緊張したI子を抱きしめ髪を撫でた。I子はわたしだめなのかしらと言って強く抱き返した。ガラスのベルジャーにいる裸のスレンダー女の子は緊張してそのまま失禁してしまうんじゃないか。

 失禁したらいいんじゃないか。僕はベッドから降りバスタオルを持って来て彼女の尻の下に敷いた。I子は何?と聞いた。僕は彼女に耳打ちするように、おねしょ、してもいいよ、しなよ、と告げた。彼女の顔が真っ赤になった。即答しない彼女はそのことを考えている。やっぱりだめ、そんなことできない、と苦しそうに答えた。僕は両方の乳首をつまみながら、大丈夫だよ、おねしょ、しちゃいなよ、と言った。彼女は顔を顰めた。できないわ。できるよ。彼女の顰めた顔が女の快感の顔になっていく。僕は彼女の下腹を撫で、性器に手を伸ばすと少し濡れ始めているのがわかった。

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